中島歯科|NAKASHIMA DENTAL CLINIC

診療の案内|Information

咬み合わせ(咬合)

よく咬んで食べることは、健康に生きるために非常に大切なことです。口を開け閉めする咀嚼筋(ソシャクキン)のポンプ作用が脳血流量を35〜60%上昇させます。
これは脳を刺激することになるので、子供の場合には脳の発育を良くし、大人の場合には脳の老化を遅らせます。また、ストレスホルモンを抑制したり、脳の満腹中枢を刺激することになり、肥満の予防につながります。
しかし、咬み合わせの理論は歯科医学の中で最大のアポリア(難問)です。私は歯科を志す前に立命館大学の理工学部機械工学科で「力学」を学び、更に大学院で「金属の疲労破壊」を研究していましたので、静的及び動的な「力学」の考え方を身につけることができました。
このことが咬み合わせの理論の修得に役立ち、自分なりの理論を創り出すことができました。

顎関節症

概要

咬み合わせの異常から頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、不眠、不整脈、腰痛、うつ、認知症、その他の様々な不快な症状が起きてきます。
広範にわたる症状なので「症候群」とも呼ばれています。最近ではかなり一般的に知られてきています。
当医院ではディナーマークⅡという咬合器を使用して、患者様の顎の運動を再現して咬み合わせの分析を行い、原因を明確にして治療を始めます。
簡単に治る場合から非常に時間がかかる場合、非常に難しい場合と症例によって様々です。

咬み合わせ(咬合)・顎関節症

ディナーマークⅡ

1. 症状

「口があかない」「口をあけると痛い」「口をあけるとき、アゴの関節にカックンとかギシギシとかの雑音がする」「食べ物を咬むと顎関節が痛い」「頭痛」「肩こり」「手がしびれる」「手が上にあがらない」「めまい」「耳鳴り」「耳の閉塞感」「難聴」「目のかすみ」「鼻、のどの閉塞感」「腰痛」「不整脈」「高血圧」「不眠」「うつ状態」などです。
広範な症状なので「症候群」とも呼ばれています。男女比では、女性が男性の6〜7倍と多いのも特徴です。更年期障害、自律神経失調症、五十肩、メニエール病などと診断されてきたケースの中に、詳しく調べると「顎関節症だった」ということがよくあります。

2. 原因

具体的には、

  • 1. 歯ならびの不良
  • 2. 片側咬み(いつも左右の歯のうち、片方だけで物を食べる)の習慣
  • 3. 抜けた歯の長期にわたる放置
  • 4. 不適切な歯科処置の結果、補綴物(ほてつぶつ=欠けたりなくなったりした歯の箇所に金属を詰めたり、かぶせたり、あるいは入れ歯を入れたりしたもの)が、適切な位置より高すぎたり、低すぎたり、アゴの運動に調和していない
  • 5. むし歯
  • 6. 歯牙の咬耗(こうもう)
  • 7. すり減って低くなった入れ歯
  • 8. 交通事故、暴力、転倒などによって生じた、顎にかかった大きな外力

以上のような原因で、まず咬合(こうごう=上下の歯の咬み合わせ)に異常が生じ、それが下顎の偏位(=ズレ)、更には顎関節の異常となって表れてくるのです。精神的なストレスの蓄積や、全身の免疫力の低下は「誘因」になります。

3. 治療方法

対症療法としては、痛みを取るための鎮痛薬、アゴの周辺の筋肉をほぐすための筋弛緩剤、心理的な原因を取り除く目的で精神安定剤を投与したりするほか、筋肉の電気マッサージ、神経ブロック療法も実施されています。しかし、正確な診断により原因を明確にして、それを除去することが出来れば完治します。
正確な診断は「咬合の分析」を基に行います。ディナーマークⅡの咬合器とセントリックバイト(非常に専門的な用語ですが)を採得して「咬合分析」を行います。これにより、顎関節症の原因の大部分が明確になります。その後、原因の除去を行います。簡単に除去できる症例から、非常に難しい症例まで様々あります。
しかし、原因が除去できれば速やかに治りますし、再発もありません。
具体的な治療方法は、異常が筋肉、つまり、咀嚼筋(そしゃくきん)だけに限られている場合は、咬合調整するだけで比較的簡単に治すことができます。もっと症状が進んで下顎に偏位が生じている場合は、スプリントや仮の歯、仮の入れ歯などを使って試行錯誤を繰り返しながら、その患者様にとって生理的に最も自然な無理のない、下顎の水平的・垂直的位置、更に前方運動・側方運動を探し出していく作業を行います。つまり、個性理想咬合を確立させます。そして、全ての症状が消失したことを確認し、更に時間をおいて再発しないことを確認した上で、最終的に、その咬合状態になるように補綴物をセットしていきます。
万が一、顎関節に器質的変化が起きている【顎関節に線維性のゆ着が起きていたり、関節円板(顎関節の中にある線維性組織で、顎関節に加わる力のクッション作用、下顎の運動をスムーズにする働きを担っている)に穴が開いたり裂け目ができたりしている】場合は、口腔外科の専門医による外科手術の必要が出てきます。しかし、外科手術が必要とされる例は全体から見るとごくわずかです。

顎関節症は現在、テレビ、雑誌、新聞などで良く取り上げられるようになり、広く知られるようになってきています。咬み合わせの与える影響は身体全体にとどまらず、人生にまで及ぶ場合もあります。